第9回 小紫様
私ときものおたすけくらぶさんとの出会いは、2001年の9月からで、11月号に出られた卯さぎやさんのご紹介です。
誰かが言っていた「着物は10年に一回洗えばいい」という言葉を信じて着物なんて洗ったことがありませんでした。当時は、自分で着物用のベンジンで裾や袖口の汚れを拭いていました。
父が亡くなって、実家に預けたままの振り袖を自分の家に持って帰ることになり開けてビックリ。長襦袢は黄ばんで、なんだか変な臭いがするし、振り袖はごふんの所に茶色いシミが出来ていました。どこに出しても、振り袖の茶色いシミのシミ抜きは断られ、綺麗にして貰えませんでした。聞けば、お手入れしてくれる職人さんがいるところが限られているから、どこから出しても同じ所に行くから、何度出しても同じだと聞きました。
それから、情報を集めるようになりました。ある時ネットで見つけた安い大阪の会社に出したことがありました。振り袖のシミ抜きは断られましたが、普段着の洗いと洗い張りなど、お願いしたら、袖口のシミや、洗い張りも目立つシミが残ったまま納品されました。洗い張りは、叔母に頂いた絵羽織を仕立て直そうと思ったので、目立つところにシミが出てしまうので、困ってしまいました。ちょっと考えれば、これで納品したらお客様が困ると解ることなのになんで、問い合わせがなっかたのだろうか・・・。いい加減な対応が不満でした。やり直して貰うには、又、送料が掛かるので、トータルしたら逆に高い金額になります。呉服屋さんにお願いするのには、そこで買った物でなくては出しずらい という事もありました。しかも、呉服屋さんのお手入れの金額はすこぶる高いです。近所の悉皆屋も見つけましたが、汗ジミが付いたまま帰ってきたり値段がいくらになるか解らないのも嫌でした。
そんな時、卯さぎやさんから「お着物お手入れ困ってない?」「困ってます?」ということで、その場で、おたすけくらぶさんを教えて頂きました。試しに夏着物や沢山着て裾が汚い小紋や紬を試しに出してみました。そうしたら、低価格でしかも全てのシミをチェックして、綺麗にして下さって戻って来ました。お安さと仕事が丁寧で、新品の様な綺麗さで帰って来たので感激しました。お店によっては、丸洗いに2万円、小さいシミ抜きに1万円も取られていたので感激もひとしおです。先の振り袖のシミもご相談しました。「お金が掛かりますよ」と言われましたが、亡き父が、私に買ってくれた着物なので綺麗にしたかったのです。父が生きてるうちは何でもなかったのですが、亡くなったら、父に買って貰った物全てが私の宝物になりました。その振り袖を買った時のことを鮮明に思い出して「どうしても着たい。」「大事にしたい。」という思いが強くなりました。確か2万円くらいで綺麗にシミの上をごふんを塗り直して金線は手描きで線を描き直して戻ってきました。思っていたより、お安く綺麗に帰って来たので感動しました。
私もトウが立ってますので、その着物は小振り袖にしましたが、派手なのでお正月用にしています。今年のお正月も、おたすけくらぶさんのお陰で、父の思い出を胸にこの着物を着用することが出来ます。
前の記事:第8回 キナコ様
次の記事:第10回 椿様