お手入れのいろは
第2回 本格的なお手入れについて

おべべ汚しちゃダメのトラウマ

 皆様が、最初にきものを着たのはいつですか?七五三のときでしょうか?そこで初めて聞く言葉は、「おべべ汚しちゃダメだからね!」、「ちゃんと歩かないとおべべ汚れるでしょ!」

 強烈にインプットされているのが、この言葉です。物心つかないうちに「きものを着る=怒られる、苦しい」と認識してしまうんですね。

 そして成人式。雪が降ろうが、雨が降ろうが、歩き方は普段通りです。化粧は、本格的になったものの、立ち居振る舞いは相変わらず。袖を引きずり、醤油をこぼし、口紅やらファンデーションがべったり。こうして汚したきものは、お母さんに任せっきり。二度ときものは、着ない、というお嬢さんがたくさんいます。

 業界人のはしくれとして、そして、世の男性代表として、女性の綺麗なきもの姿をもっともっと見たいと思います。その願いが叶わない原因の一つに、お手入れのややこしさ、面倒さがあるのだとしたら、なんと悲しいことでしょう。私は、この偏見と戦い、美しいきもの姿の日本女性が街を埋め尽くすまで、お手入れの正しい道をといていきたいと思うのです。

お手入れに出す時には

 まず、大事なことは、安心して任せられるきものの専門店を探すことです。中には「洗い張り」と偽って、きものを解き、端抜いまでしてドライクリーニングの機械でぐるぐる廻し、湯のしをするところもあります。誤診でシミが取れなくなることもあります。安心できるお店を見分けるコツは、担当者が、お手入れを受けるまでに、どれだけ話をするかです。お悩みをお聞きして、どのようなお手入れが必要なのかを納得いくまで説明してくれるかどうかです。

 お手入れに出す時のポイントは、いつ、何でついてしまったシミかを伝えることです。シミの種類により、使用する溶剤が違います。例えば、ファンデーションや袖口、裾などの油性の場合は、石油系溶剤を使用します。

黄変シミを作らないために

 きものが黄色く変色していて驚いた方もおられると思います。弊社に寄せられる相談の件数で、上位に入るお悩みがこの黄変シミに関する内容です。

 黄変シミは、熟練した職人が何時間もかけて、少しづつ酵素で色を抜き、その上に同じ色をかけたり、ときには、柄を足したりして修正します。当然、料金も加算されてしまいます。

 最近の住居は、密閉性能が高く、きものは、その中のタンスに保管され、室内の冷暖房の風やお風呂の湯気、タバコの煙、タンスに塗られた防腐剤によるガスなどの攻撃にさらされています。食べこぼしや汗ジミがついたまましまわれていたら...

 大事なきものが保管トラブルに巻き込まれないためにも、定期的に外出させて風にあて、おやすみ前には、お手入れをしてください。

お手入れに出す前の注意点

1.シミをつけたら、すぐ拭き取る。

2.水で絞ったタオルでとにかくトントン。絶対にこすらない!

3.自分でいじりすぎないで!

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