第40回 尚子様
親不孝
田舎育ちの箱入り娘の為、せっせと貯金をして着物を揃えた母の気持ちが着物を見るたび思い出されます。
4月薄枇杷色、杜若模様の訪問着に白の金銀袋帯
5月絹色、野草模様の付け下げに桃色の金銀袋帯
6月薄桃色、組みひも模様の単衣に黄緑の袋帯
7月薄水色、波模様の呂の付け下げに紫陽花の袋帯
8月白地に藍色、縦絞りにの百合模様の浴衣に博多夏帯
9月白黒色、幾何学柄の小紋に橘の染め帯
10月橙色、山景色模様に正倉院模様の袋帯
11月薄桃紫色、御所車に人形柄の付け下げ桐の袋帯
12月群青色、白樺模様に鶴の白銀の袋帯
1月白色、紋付の無地に鳳凰の袋帯
2月桃色、松竹梅の地模様色無地に梅の染め帯
3月多色、絣格子模様の大島紬に牡丹の染め帯
こんなに沢山、日本の季節を楽しめる物が着物で、着ると自然に心が落ち着きます。それを母に教えられ、母は祖母に教えられ、私達は、日本の女性として輝くのですね。
残念ながら、私には伝える娘はおらず、妻にも母にもなっておりません。
呉服関連業者の皆様。どうか皆に日本の自然美の楽しみ方を教えてあげて下さい。そして、着心地良さを教えてあげて下さい。
日本の未来の為に。
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