第37回 登夢様
「銘仙の真実」を求めて
私が「銘仙」について調べだしたのは、秩父の友人が秩父銘仙後継者育成講座を受講していて、その卒業制作のための銘仙のデザイン協力をしたことがきっかけです。
今のきものブームのきっかけとなった銘仙は、今だ古着ばかりがもてはやされ、新しい銘仙が作られていることは、ほとんど知られておりません。(私は、たかだか数十年前の着物を「アンティーク」だの「ヴィンテージ」などと呼ぶのに違和感を感じますので、あえて「古着」で通させていただきます。)古着の銘仙の着こなしの本は多数出ているのに、どんな着物で、どのように作られているか? 全く知られておりません。
私は、友人が勉強する場に一緒に参加させていただいたりするうち、そのことを知ってもらいたいと思い、出版社などに企画を持ち込んだりしたのですが、実現するのが難しく、それなら自分で調べて情報を発信しよう!と思い立ち、ブログを始めました。
銘仙は「何でもありの銘仙」と言われるように、その種類は色、柄、素材も多種多様です。しかも、大正?昭和初期のわずか数十年の間に一世を風靡し、あっという間に廃れました。こんな着物は、数多い着物の種類の中でも類を見ない、と思います。その経歴を調べて原因を究明することにより、これからの銘仙のありかた、しいては着物産業の未来も見えてくるような気さえするのです。
幸い、ブログ開始から多くの方からご覧になっていただくことが出来、秩父銘仙以外の産地のことなど、いろいろ新しい情報も集まり出しました。一番嬉しかったのは「このブログのおかげで『銘仙』に興味を持ちました。」と言っていただいたことです。
「きものおたすけくらぶ」さんには、秩父で見つけた貴重な板締絣の銘仙のお手入れをお願いしました。この一見大島に見える板締絣という技法の銘仙は、のちの村山大島の前身となったもので、今ではもう作られていない貴重なものです。このような古い銘仙を長く保管していくためにもお手入れはとても大切だと思いますので、これからもぜひ頼りにさせていただきたい、と思います。
何はともあれ私の「銘仙の真実を知るための旅」はまだ始まったばかり。調べれば調べるほど疑問も次から次へ湧いて来ます。でも、それを調べることができるのも今のうちです。技術を学んでおけるのも今のうち、と友人もがんばっています。
10年後に本当に「幻の銘仙」にならないよう、がんばっていますので、どうぞ「きものおたすけくらぶ」のみなさんを始め、ここを読んでくださった皆さん、ひとりでも多くの方から応援をお願い致します。m(__)m
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