第35回 井出玲子様

 着物と言って思い出すのは、祖母や母、伯母のこと。
 祖母は和裁士として、早くに他界した祖父の代わりに着物を縫って生計を立て、母と伯母を育ててきた人でした。私が中学生くらいまで、頼まれるとぽつぽつと着物を縫っていました。母は、仕事で毎日着物を着る人。子供の頃から毎日、姿見の前で着物を着る母を見ながら育ちました。伯母は、祖母の影響もあってか、着付師の免許を持つ人で、今思うと、小さな頃から着物に囲まれて生活していたのだなと思います。

 大人になって、振袖を卒業する頃、母に着付けを習いたいと相談したことがあります。ところが、返ってきた答えは、「着付けなんて、習うより慣れろ、なのよ。習わなくたって着られるようになるわ。」でも、帯の結び方なんて知らないし……。伯母は遠く離れて暮らしていたので、教わる機会もありませんでした。それが何故か、たまたま入ったアルバイト先で、着物を着ることになりました。 ホテルの、日本料理のレストランでの仕事で、制服は着物。 二部式ではなく、普通のポリエステルの着物と名古屋帯だったので、最初にベテランの社員さんから着付けを教わって、それで終了。あとはまさに「習うより慣れろ」で、仕事の前に忙しく着付けますから、教えてもらったことを踏まえながら着ていくうち、15分もあれば着られるようになっていました。

 そこから徐々に、お嫁入りの時に持たせてもらった着物を着るようになりました。そして、着て行くたびに、母や伯母に「惜しいなあ」とか言われて直されて。帯や小物の合わせ方もよく判らなかったですから、いろんなことを教わりました。けれども常に、「汚してしまったら大変」ということもありました。何しろ、毎日着物を着る母が、毎シーズン洗いに出す着物の量は、かなりのもので、毎回悉皆屋さんが、大きなウコンの風呂敷に、たくさんの畳紙を抱えてやってくるので、母は毎回「悉皆代がー!」と嘆いていたのを見ていましたし、卒業式の時に袴に合わせたアイボリーの色無地を汚されてはと、「今日はおせんべいしか食べちゃダメよ」と、母が言ったことも今となっては懐かしい笑い話です。そんなこともあって、洗い張りや仕立て替えにとてもお金がかかることを知っていたので、そうそう着物は着られないと思ってしまっていたのです。

 それでも何故か、私の中で膨らんでいく着物への欲求。
 呉服屋さんに足を踏み入れると、法外な値段のローンを組まされそうで恐くて(笑)、(そんなところばかりではないと今では判ってお世話になっていますが)リサイクルの着物屋さんに足繁く通うように。そして、そういうお店の人たちから様々なことを教えてもらい、そこからどんどん、その深みにはまっていきました。けれども、そこはリサイクル。お誂えとは訳が違います。母から譲り受けた着物もそうですが、丈があちこち足りなかったり、古いシミや黄変があったりするものですよね。ここで、母の言っていた悉皆屋さんとのことを思い出したりして。そうか、これを長いこと着ようと思うとお金がかかるんだな、と思うわけです。どうしようかなあと迷っていたとき、きものおたすけくらぶの存在を知りました。
 自分が普段お出かけの時に着るお気に入りのものから、徐々に染み抜きに出したり、仕立て替えていただきました。 ウソみたいに綺麗になって帰ってきたときには、ああ、お願いして良かったなとつくづく思ったり、自分サイズになって帰ってきた着物は、着心地が良くて嬉しくなります。今はそうして様々な形で手に入れた着物たちを、おたすけくらぶさんの手を借りながら、最後まで大切に着られたらと思っています。 祖母が仕立ててくれた形見の長襦袢や、母から譲り受けた着物、柄が気に入ってリサイクルで買った着物や帯も、呉服屋さんで誂えたものも、楽しく普段のお出かけに気軽に着られたらと思います。 そんな風に思えるのもおたすけくらぶさんあってのことだと思います。

 よく、ワインにはまると身上潰すと言いますが、着物も同じかも、なんて思い始めたこの頃です。 身上を潰すことなく(笑)、身の丈にあった、楽しい着物生活が出来たらなと思います。

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