お手入れのいろは
第7回 帯の恐怖体験。タンス栽培。

 今回お話しするのは、タンスの中で音もなく、静かに、すくすくと育っている「帯の恐怖。タンス栽培。」のお話し。

  帯というのは、きものや襦袢に比べ、丸洗いや洗い張り、シミ抜きなど、あまりこないお品です。汗をかけば、その汗が、襦袢やきものを通り抜けて帯にまで届いていることは、間違いなく、しかも、きもの以上に手垢や汚れがつきやすいお品であるのにも関わらずです。

 お手入れをせずに、タンスへと収納するということは、カビ、黄変コースで保管することです。トラブルは避けられません。もっとも恐ろしいのは、帯芯です。味噌汁やジュースをこぼしてしまったと送られてくるおびが入ったものを荷ほどきすると、熟練の弊社スタッフですら「きゃー!」という、絹を裂くような悲鳴をあげ、気絶しそうになっている光景がたまに見られます。帯芯は、もともと白なのに、黒、青、茶色と様々な色で彩られ、カビがすくすくと成長して、きのこまで生えそうな勢い!汗や汚れをエサに、まさしく、水耕栽培状態になっているのです。

 塩瀬などの九寸帯、染帯は、まだ良いのですが、織りの袋帯などになりますと、きもののように、色を抜いたり、染め変えたりということは、ほぼ不可能です。ましてや金銀箔、螺鈿など様々な素材が使われているため、洗うと言っても一筋縄ではいきません。いじれば、いじるほど、ツヤやハリがなくなり、みすぼらしい帯になってしまうことがあります。

 効果的な対処法の一つは、ガード加工を施しておくことです。美しいまま長く愛用するため、「タンス栽培」をしないためにもぜひ、ガード加工をしてください。

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