いよいよ工場へ
警備員のいるゲートをくぐると、いくつか建物が見えてきました。「あれが工場です」とハーイさん。柔らかな薄茶色の建物。工場長のハアさんにご挨拶し、工場に案内されました。すると4,5メートル前に透明な仕切、その向こうはまぶしいほどに電灯がつき、そこには色とりどりのお着物と働く人、人、人!!700人の工場って、こういう規模なんですね!圧倒されているうちにハアさんが、なにやらマイクで説明を始め、皆一斉に立ち上がり、視線がこちらへ集中する。説明が終わった思われる頃、思わずお辞儀をする。富田さん、工場の皆様方、日頃のお仕立ての御礼言えず、申し訳ありません。反省。
ハアさんに色々お話を伺う

パーツ毎に分かれてお仕立てをしているとのお話は竹さんのレポートで伺っていましたが、100人ほどのチームにも分かれていて、それぞれ日本のお花の名前がついているとか。そして1人のリーダーと2人のサブリーダーで、チームをまとめ、チーム同士で、毎月、お仕立ての正確さを競っているとのこと。
これなら、チームの仲間がうまくなる=自分にもプラスになる、わけで全体のレベルアップにつながるんですね。新人さんは、ハアさんが全体のバランスをみて、どこに入れるか決めるそうです。
うまくなることが先決なので、パーツ毎の移動は少ないようですが、そんななかでも憧れの部署があります。
この工場の花形といえば「裁ち」!!
お着物の命ともいえる裁ちのチームの方は、ぐっと男性の比率が多く、立ったままじっと全体と見渡している姿は、今までの親しみやすいワーカーさんとは違って、とても声をかけるような雰囲気ではなく、責任の重さとプライドの高さ、両方がかいま見えるようでした。
お着物が大切なのは、ただ高価であるということでなく、一枚一枚それぞれ気持ちが込められていたり、物語を持っていたりするからですよね。日本から遠いこのベトナム工場にもそのお着物を大切にする心は十分伝わっていると感じました。

ミシン縫製
ミシン縫製の部署です。しかし、ミシンの前には誰も座っていません。結局ミシンでできるところは全体から見るとごくわずかで、そのごくわずかな直線縫いなどは、あっという間に終わってしまうのです。仕立て直さない襦袢や普段着はミシン縫製で十分かも。私の場合、娘に残してやりたいと思えるものは、手縫いで。あとはミシンとうまく使い分けたいですね。
縫い目が細かい!
とにかくびっくりするほど縫い目が細かいです。がんばって写真に撮ってみましたが、こんなもんじゃない、実物はもっと綺麗です!私、知人の喪服のあらーいぐしびつけを目撃した後だっただけに、その衝撃は大きかったです。
刺繍紋 発見!
食堂を見た後、少し暗く小さい部屋へ案内され「ふふふ、いーもの見せてあげる」と富田さんの不敵な笑いが。なんとそこでは刺繍がなされていたのです。や、やられた。こんな「あったらいいなぁ」がすでに実現されていたとは。 その美しさに見とれている私に富田さんが注文の際のポイントを教えてくれました。
1.微笑み仕立ての際に
2.色、形ともきっちり決めてそれを形にしてから送って下さいねとのことでした。
そりゃそーですね、ベトナム人のワーカーさんにこんな感じで〜とか、あんな風な色で〜では通じませんものね。またネット上では色んな紋を見ることができますし、注文なさる時に参考(あくまで「参考」)になさってはいかがでしょうか?かくいう私は無地紬を羽織にする際に入れてもらおうと意匠を考えている最中です。
このあと案内してくださったところは、まだまだたーくさん、企業秘密があり、レポート出来ませ〜ん。ただ、今回の旅で印象に残った富田さんの言葉を最後に書き記しておきます。
「今までは、呉服屋さんを通じて間接的に受けていたけれど、おたすけくらぶの会員さんに直接接して、こちらの技術も鍛えられた。困って頼ってくる人に、できませんって言えないものねぇ。本当に、技術は超一流だと自負している。でもそれだけでなく、着る人が、こうしてほしい、こうあってほしいと思うサービスを、手軽な価格で提供することが、お着物全体の拡がりにつながり、ひいては商売の拡大につながるんだよね。やっぱりどんどん着てもらわなくちゃね。」



