第5回 珠子様

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 私は自他共に認める無類のきもの好きなのだが、それでもお手入れに掛かる費用は頭痛の種だった。きものを買う時の頭に血が上った状態では支払に終われる恐怖よりも我が物にする嬉しさが先に立っているから金額のことは気にならない(とまでは言わない)が買ったきものについてまわるメインテナンス費用は、冷静な状態なだけに、正直言ってかなりイタイ。

 きものは身にまとって初めて楽しいものだから「持っているだけで幸せ」などという考え方を私は持ち合わせていない。そのため、頻繁に着用するきものは当然のごとく汚れるのだが大切なきものを汚れたまま放置するわけにもゆかない。 しかし!うっかり汚して数千円、季節の終わりに一万円……さらに何年かに一度、いっせいに洗い張り+仕立て直しにウン十万円消えるときは本当に身にこたえる。きものを愛するその結果、あれよあれよと大金が蒸発してゆくというわけで、この費用でもう一枚何かが買えると思うと、そのたびになんとも耐えがたく、せつない気持ちになってしまう。というわけで長い間、私は悶々としながら大切な虎の子から「辛い治療代」を捻出する日々を送って来た。

 そんな中、私は「きものおたすけくらぶ」の存在を知った。きもののお手入れのエキスパートたちが、丁寧に親切に、そしてリーズナブルに対応してくれるのだから、これほど心強いものはない。技術の確かさも勿論だがやはり嬉しいのは価格だ。

 費用が気になって放ったらかしにしていた祖母や母のきものの仕立て直し。何度も着てくたくたになってしまったお気に入りの紬の洗い張り。雨の日にあえて着たい華やかな京小紋の撥水加工。頼みたいことが次々と思い浮かぶ。

 きものの喜び=買う楽しみと着る楽しみ。こう思っていた私だが、「きものおたすけくらぶ」に教えてもらったのは、大切なきものを慈しむ楽しみである。 今、私は、亡くなった祖母の羽織地を横に、この原稿を書いている。羽裏が見つかり次第、洗い張りと仕立て直しをお願いするつもりでいるのだが、その日が来るのが楽しみでならない。

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