第30回 あかね様

 ネット育ちの着物好きです。着物にハマった当初は、何もかもが珍しく、知りたい!着てみたい!欲しい!というさまざまな物欲にまみれて数年間過ごしました。同じく着物にハマった仲間たちとネットで知り合い、オフでお会いするうちに、親しくさせてもらうようになりました。仲良くなってからは、毎月のように買い物に出向き、目をきらきらさせながら、お店中の品物を見て歩きました。戦い済んでほっと一息のティータイム時には、お互いの戦利品を見せ合ったり、次に欲しいアイテムについて語り合ったり、コーディネートの相談をしたり。同じような着物好きの女友達と過ごす時間は、それはそれは楽しいものだったのです。

 そんなことを日々繰り返しているうちに、あっという間に収納が爆発しました。憧れだったアンティークの桐箪笥も購入しましたが、半分も仕舞わないうちにいっぱいになり、箪笥の上や洋服箪笥の引き出しを着物アイテムが占領し始めるのに、時間はかかりませんでした。もうこれ以上買わないと何度心に決めたことやら。でも、「ああっ、呼ばれてしまったわ♪」という帯や着物に出会ってしまえば、すぐさま決意を翻してしまう心弱い着物女。ふふ、これを読んで(自分のことかしら)とお思いになる方も多いでしょうね♪

 そんな狂騒の日々から数年。現在は、そこそこ穏やかに着物と向き合うことができるようになっています。その原因のひとつは、去年引越しをして、現状を認識したことかな。梱包をしていると、これでもかこれでもかと際限なく着物や帯や小物が出てきました。うんざりするほどの数の多さに、我ながらあきれ果てたのです。こんなにたくさんの着物や帯や草履や下駄を、いったいどうするつもりだと……? オマエはバカか? 体はひとつだろっ!ι(`ロ´)ノ 本気で反省したので、とりあえずそこからはほとんど増やしておりません。ええ、数枚……ぐらい……のはずです。

 また、着物を着る機会もずいぶんと様変わりしています。着物仲間と出かけるならば、どんな派手なアンティークも怖くなかったのですが、近頃は普通の友人と会うときや仕事がらみで着物を着る機会が増えてきました。そういうときはなるべくシンプルな感じのほうが、自分の居心地がいいんです。ただでさえ、洋服の中に着物がひとり、というのは目立ちます。行動を共にする相手に、あまり気を使わせるのもなんだし……などとオトナな気遣い(いえ、十分オトナな年齢でございますがw)をして、無地の紬や変わり織りの色無地などを好むようになりました。

 着物仲間と遠ざかってしまったことは淋しいのですが、年に一度はみんなと会える機会があります。それが、きものおたすけくらぶさんのおまつりなんです。出展している友人もいるし、スタッフサイドの友人も、遊びにくる友人もいます。会場をうろうろしているだけで、お買い物とおしゃべりが同時に楽しめてしまうという、とっても幸せな1日です。

 以前、仕事でお会いした某呉服チェーン店の会長さんが、こんなことをおっしゃっていました。「着物を着る人を増やすには、ボランティア精神がないとダメだと思います。自分が少し損をするぐらいのつもりでいるといいんですよ」と。この言葉、きものおたすけくらぶさんには、そのまま当てはまっていると思うんです。

 もちろん、本業であるお手入れに関しては、ビジネスとして成り立つ妥当な価格設定をしていてくださっていると思います。でも、特に富さんの精神的、時間的持ち出しは、計り知れないものがあるんじゃないでしょうか。いつもいつも楽しませてもらうばかりなので、この場を借りてお礼を言わせてくださいね。私が着物好きでいられるのは、「ここにお願いすれば大丈夫!」という安心を提供してもらっているからなんだと思います。これからもずっとずっと、どうぞよろしくお願いします♪

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